共依存とは

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共依存の起源は、アルコール依存者の回復過程で上手く行かなかったケースの内、依存を助長する存在が周りに多く見られ、依存者とそれを助長する人との関係を指して「共依存」と言われた事が始まりです。
これは、依存者をケアする人間で、献身的な行動がアルコール依存者に甘えを持たせてしまうためです。
現在では、アルコール依存に限らず、ギャンブル依存、恋愛依存、買物依存、インターネット依存、性依存、薬物依存、対人依存など、様々な依存に関して、それを助長する関係を共依存と表しています。
また、共依存は単に「自分と特定の相手がその関係性に過剰に依存し、その人間関係に囚われている状態」にあることを指す場合もありますので、依存症に限ったことではなくなってきています。

依存を問題視した時に、依存者自身の人格がクローズアップされますが、もう一つ重大な問題が共依存者の存在となります。
共依存者は相手のためを思うがあまり、献身的に世話をしたり、助けたりします。
その中で、依存を容認してしまうような行為が見られる場合があります。
少しぐらいならと依存を許してしまったりすると、依存から抜ける効果が薄まってしまいます。
また、人間関係に依存する共依存は、本人たちが愛情や人情と混同していることが多く問題の原因を見えにくくしている事もあります。

また、本人たちが全く意識することなく共依存の関係性になっている事もあります。
依存の存在に気付かなかったり、相手の全てを無条件で受け入れたり、自分が傷つくのが当たり前になっている方は注意が必要です。
共依存は、本人的には当たり前で際立った問題になっていないケースが多くあります。
共依存は本人が気付きにくく、早期の対処が難しいのも特徴です。

共依存の問題は、依存者の回復には本人の改善と、周りの人間の改善も必要となるのです。
共依存には段階があります。
『1.自分を犠牲にしても、相手のために尽す。』
自分の事よりも相手のことにのめり込んで、盲目的になっている状態です。
共依存の始まりの段階で、一般的には「献身的に相手に尽す人」と映るでしょう。
あまりにも自分を犠牲にしすぎて、苦しい思いをしますが、相手に尽す事に「喜びや、やりがい」を感じています。

『2.従順になりすぎて、相手を甘やかしてしまう。』
相手に尽すあまり、悪いことでも許してしまう状態です。
その甘えが依存の改善を妨げます。
「今回だけ」と許す行為を繰り返してしまいます。
共依存者は相手の事をかわいそうに思ってそのような好意をするのですが、依存者には良くない状態です。

『3.相手が自分に依存し始めたら、相手を自分の思ったとおりになるようにコントロールする。』
甘やかしていると依存者は共依存者に依存し始めます。
「この人に言えば何とかしてくれる。優しくしてくれる」というクセが依存者の心に表れます。
共依存者は、それを頼ってくれていると思い、さらに相手を自分に依存させるようにしていきます。

『4.相手の依存心を常に自分に向けさせようとする。』
共依存者は、相手が依存してこなくなると、自分の存在意義がなくなると思い、常に自分に依存させるように仕向けます。
但し、共依存者は無意識にこのような行為に及びます。
さらに献身的になったり、依存物を許したり、時には相手を脅したりします。
ここまでくると完全に相手を思いやることよりも、その関係性だけを守ろうとします。

このように共依存で問題となる共依存者が取る行動は「相手のためを思ってなされる」事なので、本人は共依存であることに気が付かないという点です。
また、エスカレートすると、共依存者が依存者を自分の思ったとおりにコントロールしようとする傾向があります。
何時までも依存させ、自分がその世話をしていられるような行動をとります。

ここでは、あまり意思されることが少ない共依存に関しての具体的な解説を行っていきます。
共依存は、自分に対する評価が低いため、他者に認められることによってしか満足を得られず、そのために自己犠牲を払ってでも他者に認められようとする行為をする人、または関係性の事を言います。
一見、他人のために努力をするという献身的な行為に見えますが、その動機は自分を認めさせるための行為で、結局のところ自分自身のために行うことになります。
例えば「私は、こんなにあなたのために頑張っているのよ」という気持ちの裏には「こんなに頑張っているのだから認めて」という自己中心的な感情があります。
このような感情や考えを持つ人を共依存者と言います。

学術的な言葉ではないので、明確な定義はありませんし、病気でもありません。
また、相手に対する行為自体は本人的には悪いことをしているわけではないので、自分自身では気づきにくい傾向があります。

共依存は放っておくと、依存者・共依存者ともに苦しむ結果をもたらしてしまいます。

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共依存の特徴

共依存の特徴画像

共依存にも度合いや種類があります。
共依存関係の立場や状況などによって、下記のようなタイプがあります。

  • 自分を愛する事が出来ず、相手に愛されることで存在意義を感じる
  • 相手に自分の気持ちを上手く伝えられず、行動で気持ちを伝えようとする
  • 相手の世話を優先して自分を犠牲にする
  • 相手の行動や考え方、状況や結果を変えようとコントロールする
  • 相手に頼らないと生きていけず、悪い部分を強く言えない
  • 主観が強く、関係性を客観的に見ることが出来ない
  • 相手の感情を強く自分に投影する
  • 物事を極端にとらえ、決め付けで判断する
  • 過去の間違いから学べず、共依存関係を繰り返す
  • 愛情と依存を取り違える
  • 相手に問題があるのは自分が悪いからだと思い込む
  • 自分の人生に希望が持てず、人との関係性だけが人生の生きがいになっている

これらは、共依存の方が意識することなく、自然とその状態になっている事が多く、自分では良くない状態だと分かっていても変える方法が見つかりにくいものです。
また、良くない状況だということに気が付いていない場合もあります。
気が付かず、関係性が深まっていくと、自ずとつらい感情になり、更に共依存から抜け出せない状態になっていきます。

また、共依存の関係は家庭内暴力やDVに発展する事もあります。
依存者が依存物を欲するあまり、暴力を振るってもそれを手に入れようとするケースで、共依存者がそれを許してしまったり受け入れてしまうことがあります。
家族間で自分以外に対する暴力を見てみぬフリをする場合等もあります。
特にDVの場合は、暴力があった後に相手が手のひらを返したように謝ってくる態度に戸惑いながらも許してしまうため、いつまでも悪い状況から抜けられないというケースが多く注意が必要です。

最近では、親子間の共依存も注目されています。
少子化に伴ない、親から子への愛情の注がれ方が共依存的なものになっているケースが増えているからです。

共依存の方は、相手への行動や感情が、本来どういうものなのか、また、その行動や感情が両者にとっていいことなのかを判断する必要があるのですが、当人同士は気が付かなかったり、見なかったことにしたりしてしまいます。
まずは、関係性の状況を客観的に判断する事が望まれます。

こちらで共依存のチェックが行えます。
共依存チェック

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共依存になりやすい性格

共依存のになりやすい性格画像

共依存になる方には、性格の偏りがあるケースが多く見られます。
人との関係性を確立するときには、両者の性格が大きく反映されます。
共依存の傾向を持っている方は、共依存になりやすい環境を作りやすく、相手もそのような性格に引き付けられるというケースが多くあります。
また、相手が変わっても共依存の関係性を繰り返す傾向にあります。
下記に、共依存になりやすい性格をあげます。

  • 自尊心・自己愛が少ない性格
  • 自己開示が上手く出来ない性格
  • 自己犠牲心が強い性格
  • 主観的な性格
  • 他者とのパウンダリー(境界線)が分からない性格
  • 感情的な性格
  • 現実逃避をする性格
  • 世話をするのが好きな性格

細かく分類すると上記以外の性格も当てはまる事がありますが、大まかに分けるとこのようになります。
それぞれ、良い面と良くない面を兼ね備えているもので、極端なケースになると共依存の関係を築きやすくなります。
基本的には自己の確立が出来ておらず、他者との関係性を曖昧にしていることが多く、感情や考え方も極端になります。
これは、自信の無さ、自尊心の低さから来るのもです。
こちらで自尊心の高さを測ることができます。
自尊心.com
自尊心が低いと感情に押さえが利かなくなり、自分や他者を抑圧します。
過度に自分の感情を抑えたり、自分の感情を押し付けたりすることは、人間関係を形成する事に悪影響を及ぼします。
共依存には、お互いに何が正しいのかの判断や、客観的な視点が必要になります。
そして、共依存になりやすい性格は、全てが悪い訳ではないので性格を変化させることによって関係性を改善する事も可能です。

また、ネット上では自分の特徴から共依存をチェックできるものもあります。
共依存診断

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共依存の克服方法

共依存の克服方法画像

まずは、自分が共依存であることに気付く必要があります。
共依存であることを自覚し、共依存から抜け出したいと強く思うことが大切です。
それは、自分では相手のためと思ってしていることが多く、本人に共依存の自覚が無いことが多いからです。
本人は自分の信念で行動をしていると思い込んでいるのでそこを否定的な考えをすること事態が難しいことなのです。
共依存的な傾向のある方は、自尊心や自己愛が低いので、自己否定感を強く持つと、感情の行き場がなくなってしまいます。
また、共依存という言葉を知った方は「自分は共依存ではない!」と否定しがちです。
自分の行動を否定するようなものですから、もし共依存であったとしても、それを受け入れるのには抵抗が出ます。
まずは、単純に否定するのではなく「自分は共依存かも」と疑ってみることをお薦めします。
また、共依存の方は自分の主観で物事を見ることが多く、客観的な視野を持つ事や、他人とのコミュニケーション方法が未熟で他人から見た自分を想像できない傾向があります。
当サイトに掲載している傾向や原因を読んで自分と重ね、共依存のチェックや傾向なども読んでみると客観的に自分を見ることが出来るかもしれません。
依存者が身近にいる場合は、共依存者と依存者がよりお互いの共依存、依存症を強くしていることの理解が必要で、関係性の度合いによっては、無理やりにでも離れることが、お互いの回復につながることもあります。
「誰かに何かしてあげたい」「誰かに必要とされたい」と思うのは当たり前のことです。
それ自体は生きていく上で必要な感情とも言えます。
ですが、行き過ぎると悪い結果を生むことがあることを認識する必要があるのです。
共依存の改善には、共依存であることの自覚と、共依存関係になっている良くない環境を変える覚悟が必要です。

また、共依存の克服方法には段階があります。
共依存の関係性というものは、性格が大きく影響しているので、簡単に改善されないのが特徴です。
それは、お互いにとって良くない状況でありながら、その関係を求めるという矛盾した状況にあることが多いからです。
共依存克服に必要なことを段階的に解説いたします。

共依存であることに気が付く

共依存の方に多く見られるのが、関係性に苦しんでいるにも関わらず、感情が混乱して、今の状況を客観的に見ることが出来ていないケースがあります。
「つらいけど一緒にいたい」「つらいけど離れられない」というような場合が多く、自分ではどうしたらいいのか分からないという状況です。
これにはまず、自分が共依存であり、その原因は共依存になりやすい性格を持っているという事に気が付く必要性があります。
原因が分からなければ、どんな問題でも対処がしにくいものです。
また、根本的な部分を改善しなければ、その場をしのいでも、同じことを繰り返す可能性が高いのです。
まずは、共依存であることを客観的に捉え、その原因である自分の性格を見つめ直す必要があります。

共依存の原因になっている性格を修正する

共依存の関係を築きやすい方は、何らかの偏りを持っている事がほとんどです。
偏り自体が悪いというわけではありませんが、その結果、苦しい思いをするのであれば性格の改善は必要になります。
ですが、性格というものは簡単に変えることが出来ません。
共依存の原因になっている性格を少しづつ変えていかなければいけません。
そのためにも、自分を冷静に客観視する必要があります。
その時、自分の感情をしっかり受け止め、結果を想定した行動を心がけていれば、共依存の原因になっている性格(感情)をコントロールできるようになって行きます。
また、共依存になりやすい方の傾向で多いのは「自分が確立されていない」というのがあります。
これは、性格以前の問題で、自己一致、自尊心の育成、社会的自立ができていないことが原因です。
これも自分と向き合い、様々な経験をして学んでいくことによって身に付いていくものです。
焦らずに自分と向き合う事が重要になります。

共依存の関係は、お互いが変わらなければ完全な関係性の改善は難しいものです。
ですが、まずは自分が変わっていくことで共依存の悪循環を止める事はできます。
おのずと、相手の依存も変わっていく事となります。

共依存になっている関係性を改善する

共依存の関係性は、時として強引にでも離れる必要がある場合があります。
関係性が後戻りできないような状態だと、感情のコントロールも難しくなるからです。
可能であれば、距離を置いたり、人に任せる事も必要です。
但し、共依存の方は、離れる事が申し訳ないと思ったり不安を感じる事もあるかと思います。
厳しい言い方ですが、時として正しい結果を導き出す為には、心が痛む判断をしなければならない事があるのです。
今の感情を大切にするあまり、未来の感情をないがしろにしていては本当の幸せとは言えないのではないでしょうか。
感情に負けず、正しい判断を心がけなければ、状況を変える事は難しいのです。

同じことを繰り返さないように状況を冷静に捉える

共依存の方は、相手が変わっても同じような関係性を繰り返してしまうことがよくあります。
苦しい状態を脱却しても、根本的な部分が変わっていなければ、また同じような感情を抱き、その感情に従った行動をとってしまうのです。
先ほども言ったように、性格の部分は簡単には変えることが出来ません。
ですから、共依存の方は必要以上に「結果を想定した冷静な判断」が必要になります。
そして、共依存になりうるような感情を抱いた時は、その感情を上手く処理する必要があります。
「何かしてあげたい」「この人と居ないと寂しい」などの感情が出た時は、一度冷静に結果を想像してみてください。
お互いにとっていい関係を築けるのかを一番に考え、感情に流されないようにする必要があります。

自分の満足感を自分で得られるようにする

共依存の方は、自分の満足感を人から得ようとするクセがあります。
これは相手の一挙手一投足に影響を受けて感情が変動していきます。
これでは、相手次第で満足感が得られない事もあります。
自分の思い通りに満足感を得られないのは大変なストレスになっていき、相手をコントロールしようとしたりと共依存特有の問題を引き起こします。
そうならないためには、自分でも満足感を得られるような事を見つけることが大切です。
趣味や遊びなどでも良いでしょう。
自分次第で満足感が得られることで、他での満足感に執着する事も減っていきます。
また、相手の反応よりも自分の努力や結果を誉める事でも満足感は得られます。
共依存の方は、自分を誉めるという事は悪い事だと無意識的に感じていることが多くありますが、「自分が頑張ったことに誇り持つ」と言う事は恥ずかしいことではありません。
自分が精一杯頑張った結果は、自分の一番です。自分の一番を出した自分は最高に頑張ったということです。
自分が出来る限りの事をやったという事は誉められて然るべきことです。
自分自身で満足感を得られるかどうかは、実は自分次第なのではないでしょうか。

今後の可能性を悲観しない

共依存の方には、未来を悲観的に捉える傾向があります。
自尊心のなさや、生きがいなどが乏しいと将来に希望を持つ事は難しいものです。
そのため、その不安や寂しさを埋めるために、人間関係に依存するのです。
自分の存在意義を、誰かを利用して無意識に確かめているのです。

今後の可能性とは誰にも分からないものです。
分からない事に悲観しても、何も変わりません。
理論的に考えて、将来が良くなる可能性が高い行動をとるのが得策です。
不安や寂しさを埋める方法は、人間関係だけではないのです。


共依存の克服で一番大切なのは感情に流されないことです。
感情的な行動ではなく、良い結果をもたらす行動を意識してください。
そして、行動をする時は感情を抑圧するのではなく、共依存になっている原因の感情を理解し無理のない対応をすることが大切です。
感情に振り回されている時は、その感情をひも解いて客観的に考える事が、感情への理解となります。
自分の感情が納得出来、結果を考えた行動をすることによって、我慢せずにお互いにとっていい結果となる流れが出来てきます。
それを継続していくと、自ずとそれが癖付き、共依存的な感情や行動が減っていきます。
そして、他の事にも目が向くようになり、性格も共依存傾向ではなくなっていきます。

また、共依存の原因が成長環境から来る性格の偏りであることがあります。
これは、自分で選択することが出来ないケースが多いので、仕方が無いことですが、後天的に変化させる事は可能です。
幼少期の環境が大人になっても何らかの生きづらさになっている人の事を、アダルトチルドレンと言います。
共依存の方は、このアダルトチルドレンに当てはまることが多く、アダルトチルドレンの改善が共依存の克服になる事もあります。
参考;アダルトチルドレンを克服

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